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2025年06月10日

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【専門建築士解説】家の傾き直し工法と費用を徹底解説!最適工法は?

目次

1・はじめに:家の傾き、原因と直し方を知ろう!

不同沈下、地震、経年劣化など、様々な原因で家が傾いてしまうことがあります。

傾きを放置すると、建物へのダメージだけでなく、健康被害や資産価値の低下にもつながる可能性があります。

早期発見と適切な対策が、安心安全な暮らしを守るために重要です。

2・家の傾きの原因:主な3つの原因

  • 不同沈下:地盤の不均一な沈下により、建物が部分的に沈み込むことで発生します。擁壁の上にお家が建っていると、お家の下の土が擁壁の下に滑るように移動してお家が傾いてしまうケース等があります。
  • 地震:地震の揺れにより、液状化したり、地面が動いたりして傾くことがあります。
  • 経年劣化:お家を建てる前の地盤強度の確認や締固めが甘かったり、長期間建物の荷重が加わる事によって基礎の下の地面が圧縮されてお家が傾くことがあります。

3・家の傾きを放置するリスク:どんな影響がある?

  • 傾きを放置すると、建物のバランスが崩れ、地震時に倒壊の危険性が高まります。
  • ドアや窓が閉まりにくくなる、隙間風が入るなど、住み心地が悪化します。
  • めまいや吐き気、平衡感覚の異常など、健康被害を引き起こす可能性もあります。
  • 家の資産価値が大きく低下し、売却が困難になることがあります。

4・ 家の傾き直しについて調べる前に知っておくべき専門用語

お家の傾き直しを行っている業者探しの前に、最低限抑えておきたい専門用語を解説します。

基礎

住宅の基礎とは、建物を支える土台となる部分のことです。地面と建物の間に作られるコンクリートの構造物で、

住宅の基礎には、主に以下の2つの種類があります。

ベタ基礎

建物の床下全体に鉄筋を入れた厚いコンクリートを敷く基礎です。面で建物を支えるため、安定性に優れ、地震にも強いとされています。また、地面からの湿気やシロアリの侵入を防ぐ効果もあります。

  • ベタ基礎画像

布基礎

建物の主要な柱や壁の下にのみコンクリートを敷いて線で建物を支える基礎です。ベタ基礎に比べてコストは低いですが、耐震性や防湿性では劣るとされています。地面から湿気が上がってくるのを防ぐために、防湿コンクリートを地面の上に薄く打ってある布基礎もあります。

  • 布基礎画像

土台

建物の基礎と柱をつなぐ部材です。建物の荷重を基礎に伝え、安定性を保つ役割を担っています。木造のお家では、コンクリートの上に水平に乗っている10センチ程の木材になります。

  • 土台の位置画像

耐震基準

住宅の耐震基準は、地震の揺れから建物を守り、人命を守るために建築基準法によって定められた基準です。

耐震基準の種類

  • 旧耐震基準:1981年5月31日以前に建築確認申請が出された建物に適用されていた耐震基準です。

※旧耐震の建物は基礎に鉄筋が入っていない事もあり、下記工法比較アンダーピーニング工法で施工を行う場合は、

鋼管杭や、大型コンクリート平板を圧入する際、基礎にかなりの圧力が加わるので、

基礎補強等別途工事が必要になる場合が多いです。

  • 新耐震基準: 1981年6月1日以降に建築確認申請が出された建物に適用される基準です。震度6強~7程度の地震でも建物が倒壊しないことが求められます。


コンクリートの設計強度や、基礎の鉄筋の必要量が法律で明確に定められており、

アンダーピーニング工法をはじめとして様々な工法が適応可能です。


  • 現行の耐震基準: 2000年6月1日以降に建築確認申請が出された建物に適用される基準です。新耐震基準に加えて、地盤調査が事実上義務化され、木造住宅の耐震性も強化されています。


現行の耐震基準より、お家を建てる前に地盤調査が義務付けされているので、

傾き直しを行う業者に無料診断を依頼する際は、是非「地盤データ」を確認してもらいましょう。


現行の耐震基準のお家を土台上げ工法で傾きを直そうとすると、※ホールダウン金物という、基礎と土台と柱を一体化させる金物の設置が義務付けられているため、土台上げ工法でお家の傾きを直す際、

金物を緩めるために外壁や、屋内の壁を剥がす必要があり、アンダーピーニング工法に比べて、却って工事費用が高くなる場合もあります。

5・家の傾き直し工法:特徴と費用相場を比較!

家の傾き直しの工法は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

1・アンダーピーニング工法

お家をささえるコンクリートの部分(=基礎)の下に穴を掘り、基礎からジャッキアップによって持ち上げる方法です。

大きな鉄板の上にコンクリートの板を重ねて沈めていき、コンクリートの柱を形成してからジャッキアップする耐圧盤工法や、鋼管を溶接しながら長さを足して圧入していき、基礎を支えられる杭を形成してからジャッキアップする鋼管杭工法があります。

2・土台上げ工法

基礎と土台を切り離し、土台から持ち上げる方法です。

3・薬液注入工法

基礎の下の地盤に薬剤を注入し、反力によってお家の傾きを直す方法です。

株式会社 西川では、独自開発の、5秒で半固体化するセメント系地盤改良材「地盤ロック」を注入する地盤ロック工法を採用しています。

それぞれの工法には、メリット・デメリット、費用相場、適している建物の基礎の形状などが異なります。

どの工法がお家の傾き直しに最適かは、建物の傾き具合、地盤の状態、建物の構造、費用などを総合的に考慮して、専門の建築士がアドバイスいたします。

工法メリット・デメリット西川費用相場

アンダーピーニング耐圧盤工法◯ベタ基礎 ◯布基礎 ◯旧耐震基準も可能
◯住みながら工事可能
◯比較的費用を抑えられます。
◯軟弱地盤でも地盤ロック工法によって地盤改良を併用することで、
 地盤改良と液状化対策を同時施工できます。
50万円~
30坪全体
地盤ロック併用
約250万円
アンダーピーニング鋼管杭工法
◯ベタ基礎 ◯布基礎 ◯新耐震基準のみ
◯住みながら工事可能
●耐圧盤工法に比べて費用は高くなります。
●明確な支持層がない地盤で施工すると再沈下のリスクがあります。
●液状化砂質地盤では摩擦により杭が支持層に届かず効果のない工事になりかねない為、
 専門建築士による十分な地盤状況の把握や、試験杭圧入工事が必要です。
100万円~
30坪全体
約500万円
土台上げ工法◯ベタ基礎 ◯布基礎 ◯旧耐震基準も可能
◯もっとも工事費用を抑えられる工法です。
◯住みながら工事可能
◯基礎の下に隙間があったり、地盤が弱いと再沈下します。
 その場合、基礎下へのグラウト充填や、地盤ロック工法地盤改良併用をおすすめします。
●現行耐震基準で建てられたお家では、
 柱と基礎と土台を一体化させる金物を緩めるために壁を剥がす必要があるので、
 別途補修費用により結局工事費用が高くなります。
25万円~
30坪全体
地盤ロック併用
約200万円
地盤ロック工法◯基本的にはベタ基礎のみ※布基礎は軽微な傾きのみ
◯鋼管杭に比べて費用を抑えられます。
◯旧耐震基準も可能
◯住みながら工事可能
◯地盤改良・液状化対策・傾き直しを同時施工出来る。
●傾きの大きい布基礎を無理に注入工法で持ち上げようとすると、
 部分的に床が膨らんでしまい構造に影響が出る恐れがあります。
50万円~
30坪全体
約300万円

費用相場はあくまで目安であり、実際には建物の状態や工法によって異なります。

当社工法比較表ページ


6・業者選びのポイント:信頼できる業者を見つけるには?

家の傾き直しは、専門的な知識と技術が必要な工事です。信頼できる業者を選ぶことが重要です。


以下のポイントを参考に、業者を選びましょう。

  • 実績:豊富な実績がある業者を選びましょう。
  • 資格:建築士や宅地建物取引士などの国家資格を持っている営業が無料診断を行える業者を選びましょう。
  • 見積もり:複数の業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。
  • 説明:工事内容や費用について、丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
  • 保証:工事後の保証制度があるか確認しましょう。


【家の傾き】優良業者を見分ける4つのポイント!後悔しない業者選び

7・その他:知っておきたい保険情報

  • 火災保険:地震や台風などで家が傾いた場合、火災保険が適用されることがあります。加入している保険会社に問い合わせてみましょう。

家の傾きには保険は使える?8つのポイントを徹底解説!


  • 補助金:自治体によっては、家の傾き修理に対する補助金制度があります。利用できるかどうか、自治体に問い合わせてみましょう。

補助金情報

8・まとめ:早期発見と適切な対応が大切

家の傾きは、早期に発見し、適切な対応をとることで、建物や居住者の安全を守ることができます。

この記事を参考に、家の傾きについて正しい知識を持ち、信頼できる業者に相談して、安心して暮らせる住まいを実現しましょう。

社長画像

執筆者


お家の傾き直し専門店 株式会社 西川

代表取締役 一級建築士 一級建築施工管理技士 久門 和宏


関西大手ゼネコン・住友不動産で勤務の後、

世界遺産も手がける 創業130年の曳家に所属


データに基づいてお家にあった最適で安心安全な傾き直し工法を適正価格で提供するため、


「お客様、従業員の幸福、社会の進歩発展に貢献すること」を社訓に、


お家の傾き直し専門店 株式会社 西川 を 創業


令和7年2月 執筆

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