近年の日本では頻繁に地震が発生しており、我が家は傾いていないのか心配になる方もいます。また、家の傾きの修繕に、どれだけ費用がかかるのか不安になる方もいるでしょう。目を向けてほしいのが、加入している火災保険などの保険です。家の傾きの内容によっては、修理に保険が適用される場合があります。家が傾いた際の保険の利用など、様々なポイントに対しご紹介します。
【地震で家が傾く原因】
地震で家が傾く原因は、以下が挙げられます。
【液状化現象】
軟弱地盤で大地震が発生すると、液状化現象が発生します。液状化現象というのは、地盤の中にある水分が流れ出てしまい、地盤沈下が発生する状態のことをいいます。
家が建っている地盤にて液状化現象が発生してしまった場合、均等に建物が下がっていくことは稀です。ほとんどの場合、傾きながら家が沈下する不同沈下が発生します。
【軟弱地盤の地盤沈下】
軟弱地盤に家を建てると、建物の重みにより地盤が圧密状態となり、徐々に建物が沈下していきます。この場合も、均一にバランスよく建物が沈下していくことは稀であり、重い方が下になり傾きながら沈下していきます。
【大地震で地盤がずれる】
大地震が発生した場合、地盤がずれてしまうことがあります。地盤がずれると段差ができるので、家が傾いてしまう場合があります。この場合、軟弱地盤であっても強固な地盤であっても関係なく、発生する家の傾き現象です。
【新築で建設した際の構造上の問題】
新築で建設をする際に、柱や台が傾いたまま建ててしまう場合があります。普通では考えられない話ではありますが、いわゆる欠陥住宅という部類に入る家であり、数は少ないですが発生していることは現状です。
建築物の傾きの許容範囲は、1mにつき3㎜以内の傾きの場合ですが、新築の場合は距離に関係なく±5mmです。
新築物件の場合に以上の傾きを超えている場合は、間違いなく欠陥住宅となります。その場合は、建てた業者に相談をし、今後の対策を考えてもらい修繕してもらいましょう。
この場合、お客様に修繕にかかる必要な費用負担は一切ありません。
家の傾きを根本的から修繕するので、修繕工事期間の引っ越しにかかる費用も、業者が負担してくれます。
【傾きを修繕するのに保険は適用される?】
家の傾きの修繕に、保険が適用される場合があります。
現在、皆さんがかけているのが多い住宅に対する保険は、火災保険と地震保険です。火災保険と地震保険が適用される傾きの原因は何があるのか、以下にご紹介します。
【火災保険の場合】
火災保険の場合は、自然災害により発生した家の傾きに対して保険が適用される場合があります。主に、以下の3つの自然災害に対して、保険が適用となる場合があります。
ひょう
ひょうは、5cm以上の氷の塊です。大きなひょうが降ってきた場合、屋根や外壁などの建物外部に当たることにより、家が傾いてしまう場合があります。
風災
風災は、台風や竜巻、暴風などが該当します。強風に建物が煽られた際に、家が傾く場合があります。台風が頻繁に来る地域の場合、風災が該当する可能性が高くあります。
雪災
大雪が降って積雪量が多くなってしまうと、屋根に積もった雪の重みにより家が傾いてしまう場合があります。
豪雪や雪崩などにより家が傾いてしまった場合は、雪害に該当する可能性があります。北日本の雪が降る地域の方は、覚えておくことをおすすめします。
【地震保険の場合】
建物の傾きは、地震により発生してしまう場合の方が多くあります。そのため、基本的には地震による被害で家が傾く方が多いと、捉えておくと良いでしょう。
地震が原因で発生してしまう、2つの保険適用ポイントをご紹介します。
液状化現象
大地震が発生したことにより地盤が液状化した場合に家が傾いた場合、地震保険適用となります。
地盤沈下
地盤沈下となる家が傾いてしまった場合、地震保険適用となります。地盤沈下が発生する原因は、地震が発生した場合や地下水をくみ上げる際に発生するので、地震保険が該当すると」いうことになります。
【保険が適用される被害の認定基準】
家が傾いた際の保険適用には、被害認定基準というものがあります。被害の程度を示す基準であり、以下の4つの被害認定基準があります。
どのような内容なのか表にまとめてみましたので、ご紹介します。
被害認定ランク |
保険金のパーセンテージ |
一部損 |
保険全額:5% |
小半損 |
保険全額:30% |
大半損 |
保険全額:60% |
全損 |
保険全額:100% |
【支払われないケース】
火災保険や地震保険に加入していても、家の傾きに対して保険金が下りない場合もあります。その理由は、建物にかける保険というのは、一定の条件を満たしていないと保険金が下りないからです。
保険の一定の条件というのは、お客様がかけている火災保険や地震保険により異なります。家の傾きの場合は傾斜の度数や沈下の大きさにより判断され、その詳細が保険規約に記載されています。
例を挙げると、とある火災保険の場合、木造住宅が傾斜1度以上で沈下35cmで全損扱いとなりました。この保険の場合、保険金額の全額が支払われました。これはあくまで一例であり、その保険会社との契約内容により異なるので、1度確認しておくことをおすすめします。
【保険の申請方法】
保険の申請の一般的な流れを、以下にご紹介します。
① 損保会社に家が傾いた旨を連絡
② 立ち合いの調査の日程調整の連絡が来る
③ 一週間程度で保険金請求書類を受け取る
④ 家の傾き被害の状況立ち合い調査(建物の図面を用意しておくとスムーズに進む)
⑤ 保険金申請が可能な場合は、書類の作成などの案内を受ける
⑥ 一週間程度で家の傾きの調査結果の連絡が来る
⑦ 一週間程度で保険金の受取り
家の傾きに気づいたら、すぐに損害会社に連絡をしましょう。
大したことが無いと思っても、調査してもらった後に大きな被害を受けていたことがわかり、多くの保険金を受け取った方はすくなくありません。
すぐに損保会社に連絡をすることで、保険金も早く貰うことができます。
【自分で傾きを調べる方法】
家の傾きは、お客様自身で簡易的に調べることができます。インターネット上の記事にも様々な調べ方が記載されていますが、今回は誰でもできて調べやすい調査方法を、以下にご紹介します。
【ビー玉を転がす】
TVなどで良く見かける方法ですが、床にビー玉を置いて転がっていくかを調査する方法です。床にビー玉を静かに置いて転がっていく場合は、家が傾いている証拠となります。
【下げ振りで調べる】
プロは家の傾きを「振り下げ」というアイテムを使って調べます。しかし、お客様は持っていないので、下げ振りの代わりになるものを作って、下げ振りを使うように家の傾きを調べてみましょう。
5円玉か50円玉の中心に穴が開いている小銭を用意し、穴に糸を通して結びます。作成の際、小銭から糸の長さは50㎝程度にしましょう。どこの部屋の内壁でも良いので、糸を通した小銭の上の糸を内壁に当てて、セロハンテープなどで貼り付けます。セロハンテープで内壁に固定した部分と小銭部分の内壁との距離の差がある場合、家が傾いている証拠となります。差がなくピッタリ小銭が内壁にくっついている場合は、家は傾いていないということになります。
【スマートフォンのアプリで計測する】
iPhoneなどのスマートフォンのアプリには、傾きを計測できるアプリが入っている場合があります。誰でも簡単に計測できるので、手間なく家の傾きを調べる事ができます。
【傾いた家に住み続けるとどうなる?】
中には、家が傾いていても問題は無いと思う方もいると思います。しかし、傾いた家に住むことは、良いことではありません。傾いた家に住み続けるとどうなるのか、以下にご紹介します。
【耐震性の低下】
家が傾いているので、柱や梁などの主要構造部分に余計な負担をかけてしまいます。
不安定な状態なので、少しの地震を受けても揺れやすく、耐震性がどんどん低下していきます。
【家の価値の低下】
傾きが向きがある建物なので、傾きがない正常な家と比較すると、欠陥がある分家の価値は下がります。
また、中古住宅として売りに出す場合にも、売却まで時間がかかる場合があります。傾いている家を購入しようと思う方は少ないので、なかなか買い手が付かない可能性があります。
【損害発生より3年過ぎると家の傾きに対する保険が下りなくなる】
損害保険の申請には、期限があります。損害発生より3年以内に申請しないといけないと、どの損害保険会社の規約にも記載されています。
家の傾き発生から3年以上経ってから損害保険を使おうとしても、該当しません。
【まとめ 家の傾きの修繕には損害保険が該当する場合あり!即検討を!】
家の傾きは、火災保険や地震保険などの損害保険を使うことができます。ただし、規約に該当しているのみなので、自分の建物は規約に該当しているのかを細かく確認し、利用の検討をしましょう。損害発生から申請までには期限が決まっているので、家の傾きを見つけたらすぐに損害保険会社に連絡をしましょう。