もしもシロアリの被害に遭ったり地盤沈下で、家が傾いてしまったら、高額な修繕費用に悩まされてしまうでしょう。
被害に気付いたころには手遅れになっていることも多いです。
最悪のケースを想定して、事前にシロアリについて基礎知識を身に付け、予防をしておくことが大切です。そこで今回は、被害に遭いやすい家の傾向や予防法、シロアリの駆除についても紹介します。ぜひ参考の一つにしてみてください。
シロアリとは
シロアリとは、昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科に分類されます。
一般的な蟻と同様に卵から幼虫となり大半が働き蟻として成長していきます。
繁殖力が高いうえに、シロアリの大好物が木材だと考えられています。
日本に生息するシロアリは20種類程度といわれており、大半が人間の生活に支障をきたさない昆虫です。
一般的に家に出るシロアリは以下の3種類です。
- ヤマトシロアリ
- イエシロアリ
- アメリカカンザイシロアリ
すべてのシロアリが木材を食べますが、ヤマトシロアリに関しては家に被害をもたらすほどの食欲はありません。
しかし、イエシロアリと アメリカカンザイシロアリに関しては、いたるところに巣をつくり、家の木材をはじめ家具なども食べつくします。
一度住み着くと駆除にも一苦労し、巣ごと完全に取り除く必要があります。
巣別れすることで一つの巣だけでは済まないケースも多々あるため、家には近寄ってほしくないシロアリだといえます。
シロアリがいる家はどうなる?
シロアリがいる家は、住宅を支える木材が食べられてしまい支える力が弱まっている可能性があります。
シロアリ被害を受けたことで家が傾いてしまったり、そのままにしてメンテナンスを行わなかった場合、全壊してしまうこともあるため、早め早めに修繕や対策を行うことが大切です。
築年数が5年未満で安心だと思われている方もいるかもしれませんが、新築であっても被害が発生するケースもあります。
実際に築3年でも被害に遭ったケースも報告されているため、築年数が経っていないからといって安心してはいけません。
シロアリの被害に気付いたあとは家屋の修繕よりも先に、まずシロアリの駆除が必要です。
巣の位置を確認し、駆除や薬剤を散布するなど、場合によっては半日以上費やすこともあります。
駆除にかかる費用も負担になり、薬剤のリスクも心配になります。
やはり、シロアリ被害を発生させないように事前に予防対策を施すことが重要です。
どのような家がシロアリの被害に遭いやすいのか
シロアリの被害に遭いやすい家の特徴について紹介します。
風通しが悪い家
シロアリは湿気が高く、ジメジメした場所を好みます。
そのため、風の入口と出口を確保できていない間取りや、増改築によって湿気がこもりやすく風通しが悪くなってしまった家は注意が必要です。
特に元々床下が低かったり、床下の換気口の前に雑草が映えている場合には、通気性が悪く風通しの妨げとなっているので、早めに改善することをおすすめします。
山間部にある家
自然に囲まれた山間部にある家もシロアリの被害に遭いやすいといえます。
山で降った雨水が流れ込みやすく、家に水を溜め込んでしまう可能性が高いです。
さらに、周りの山の影で日当たりが悪い時間が長いと、溜め込んでしまった水が乾きづらく、シロアリが好む湿った状態が続いてしまいます。
元々シロアリは太陽の光を嫌い、日陰を好む傾向にあるため、巣をつくる絶好の場所になりやすいので、注意しましょう。
森林や川が近くにある家
森林や川が近くにある家も、周りの樹葉の水分蒸発や川の水分量の影響で湿度が高い環境に陥りやすいので、注意が必要です。
特に家の中でも湿度が高くなりやすいキッチンや浴室などの水まわりは、シロアリが集まりやすいです。
壁や柱などが既に食害にあっている場合、木材に空洞がうまれ変色する原因となります。
おかしいと感じたら早めに対策を打っておいた方がいいでしょう。
雨漏りや水漏れの可能性がある家
家のどこかで雨漏りや水漏れが発生している家も注意が必要です。
雨漏りや水漏れの影響で、木材でできている柱や床に多くの水分を溜め込んでしまいます。
シロアリが好む木材の状態に陥りやすいので、食害に合う前に早めに修繕しましょう。
ダンボールや廃材を放置している家
シロアリは家の木材だけでなく、ダンボールや廃材も好物です。
庭のスペースや家の中に段ボールを放置していると、水分を吸収したダンボールがエサとなり、それを求めて家の中に侵入してきます。
さらに、ダンボールを放置しておくことで湿気を集めやすく、日陰となる箇所を作ってしまうため、シロアリにとって巣を作って繁殖していきたい環境だといえます。
シロアリの被害で傾いた家どうやって直す?
シロアリの被害で家が傾いてしまった場合には、修繕を必要とします。
ただし、まずはシロアリの駆除を専門の業者に相談・依頼し、駆除を終えてから修繕を行うようにしましょう。
一般的に家のシロアリ駆除には、早くて3時間、被害が大きい場合には5時間から8時間程度かかります。
専門の業者は薬剤を散布する動力噴霧器などの機材や薬剤タンク、薬剤噴霧用ノズル、床上の穴をあけるインパクトドライバー、電動ドリル、振動ドリル、丸のこなどを持参し、シロアリの駆除をしていきます。
必要に応じて、大工工事が入りますが、シロアリ駆除を優先しましょう。
その後、家の土台を撤去し新しい材木で根継ぎして、家の傾きを水平に直す工事をしていきます。
修繕の相場は範囲が狭い場合には100万円程度ですが、平均は300万円程度となります。
土台の木材を変えることはできる?
ジャッキアップ工法や薬液工法などの施工方法を用いて建物を持ち上げ、土台の撤去を行うことで、新しい木材に変えることが可能です。
木工ドリルなどで土台を切断し、間柱を切り土台を外します。
その後は、傷んでいる部分を新しい材木で根継ぎを行い、土台を入れ替え調整していきます。
土台を新しい木材に入れ替える際は、シロアリの好む木材と嫌う木材の種類についても理解して、今後の被害を防げるような木材を選択することも重要です。
シロアリが嫌う木材は、独特の香りや硬さが特徴のものがあげられます。
代表的な種類としてはヒノキ、ヒバ、スギ、イヌマキなどがあります。
個体差があるため完全に防げるわけではありませんが、比較的被害を抑えることが期待できるため、土台の木材を変える場合には、香りがよく元気で硬い木材を選ぶのがいいでしょう。
特にヒノキには「ヒノキチオール」という成分が含まれており、防虫剤やシロアリ駆除剤にも使われているので、おすすめです。
一方で、シロアリが好む木材も存在し、マツやブナなどは、柔らかい木材のため被害が発生しやすいので選択しないようにしましょう。
薬液注入や薬剤散布などは今後の防虫効果が期待できるので、適宜対策を行いましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は被害に遭いやすい家の傾向や予防法、シロアリの駆除についても紹介してきました。
家の木材をはじめ家具なども食べつくしてしまうのは、イエシロアリやアメリカカンザイシロアリです。
シロアリ被害を受けた場合、家が傾いてしまったりメンテナンスを行わなかった場合、全壊してしまうこともあるため、早め早めに修繕や対策を行うことが大切です。
特に注意が必要なのは、風通しが悪くジメジメとした湿気が高い立地です。
ダンボールや廃材を放置している場合も、シロアリが集まりやすいので注意しましょう。
今回はシロアリの被害で傾いた家の修繕について紹介しましたが、地震などの災害をきっかけに地盤が沈下し修繕対応をしなければいけないこともあります。
土台を変える場合には、木材にも注目して修繕を進めていきましょう。