このたびの災害により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
2024年元旦には石川県で強い地震が発生しました。
地震の影響で家の傾き修繕が必要になってしまった方も少なくありません。身の安全を確保しつつ、住まいの修繕を行うために補助金がおりるのか気になっている人も多いでしょう。
今回はリフォーム中の住まいについてや地震保険について解説します。ぜひ参考の一つにしてください。
自然災害による被害の程度と状態
自然災害には、地震や台風、大雨などが挙げられます。
自然災害による家の傾きを含む住宅の被害の程度と状態で、国や地方自治体による補助金が受けることが可能です。
被害の程度は全壊、大規模半壊、半壊、準半壊の4つにわけることができ、被害の状態もそれぞれ異なります。
全壊
被害の程度が全壊の場合には、居住するための基本的な機能をなしていない状態です。
あるいは、補修をしたとしても元通りになることが困難で、居住が難しい状態を指します。
大規模半壊
被害の程度が大規模半壊の場合には、大規模な補修が必要な状態です。
耐久性の補修などを実施しなければ、元通りになることが困難で、居住が難しい状態を指します。
半壊
被害の程度が半壊の場合には、居住するための基本的な機能が一部無くなっている状態です。
全壊と大規模半壊に比べ、補修を行えば元の居住ができる程度を指します。
準半壊
被害の程度が準半壊の場合には、上記で紹介した半壊には至らなず損傷を受けている状態です。
災害で家が傾いた場合に活用できる補助金
地震などの自然災害によって、家が傾いた場合に自費で修理を施すのには限界があります。
被災している最中は他にもお金がかかるため、しっかりと補助金を活用し元の生活を取り戻しましょう。
大きな地震や台風、土砂災害などで住宅が損壊した場合には、国や自治体から補助金が支給されます。
後ほど申請に必要な書類について解説しますが、補助金を申請するためには家が傾いている、もしくは修繕が必要と証明された罹災証明書が必要となるため、必ず事前に準備をし、自治体で発行してもらいましょう。
ちなみに、過去に支給された補助金の事例について、簡単にいくつか紹介します。
東日本大震災で実際に補助金が交付された事例には、被害の程度に応じて補助金が支給されています。
記憶に新しい熊本地震も「被災者生活再建支援制度」の対象となっているため、「基礎支援金」と「加算支援金」の補助金を支給されています。
対象の地域であっても申請受付には締め切りがある点は覚えておきましょう。
補助金の認定基準
補助金を受け取るためには、補助金の認定基準を満たしている必要があります。
どの程度でどれくらいの損害であれば補助金を受け取れるのか、認定基準について紹介します。
被災者生活再建支援制度
まず、補助金の対象になるためには、災害自体が「被災者生活再建支援制度」の対象となる必要があります。
被災者生活再建支援法が適用されることで、住んでいた住まいが全壊や不同沈下と呼ばれる建物が不均一に沈下している現象など被害を受けた世帯に対して、被災者生活再建支援金として補助金を受けることが可能となっています。
基準:全壊
家の傾きが1度以上(1度を含まない、1度を分数で表すと17.7/1000、つまり1メートルにつき17.7ミリの傾き)場合もしくは、等沈下が30cmを超える(30cmを含まない)場合を指します。
基準:大規模半壊
家の傾きが0.8度超〜1度以下(1度を含む、0.8度を分数で表すと14/1000、つまり1メートルにつき14ミリの傾き)の場合を指します。
あるいは、不同沈下が20cm超〜30cm以下(30cmを含む)の場合を指します。
基準:中規模半壊
家の傾きが0.5度超〜0.8度以下(0.5度を分数で表すと8.7/1000、つまり1メートルにつき8.7ミリの傾き)の場合を指します。
あるいは、不同沈下が15cm超〜20cm以下の場合を指します。
基準:一部損
家の傾きが0.2度超〜0.5度以下(0.2度を分数で表すと3.5/1000、つまり1メートルにつき3.5ミリの傾き)の場合を指します。
あるいは、不同沈下が10cm超~15cm以下の場合を指します。
申請に必要な書類と申請の流れ
地震などの災害によって補助金を受ける際は、罹災証明書と呼ばれる被害の程度を証明する書類などを準備する必要があります。
ここでは、補助金を受け取るために必要な書類や申請の流れについて紹介します。
罹災証明書の発行の流れ
補助金を受け取りたい場合には、被害の程度を証明する罹災証明書を発行しましょう。
発行にあたっては、住んでいる市町村の窓口にて申請を行います。
申請すると、後日市区町村職員による被害認定調査が実施され、被害状況を確認・調査した結果に基づき罹災証明書が発行されます。
手続きを行うにあたっては、身分証明書などを求められることが多いので、事前に持参しましょう。
ただし、住んでいる市区町村によって準備する書類が異なる可能性があるため、事前に問い合わせることで安心して手続きを進められるでしょう。
注意点として、補助金や保険金を求めて申請している人が多い状況のため、罹災証明書が発行されるまでは時間がかかる傾向にあります。
市区町村の対応によっては、「罹災届出証明書」と呼ばれる、罹災証明書の発行申請中の証明書類を用意してくれるケースもあるため、気になる方は直接相談してみてください。
さらに、罹災証明書は補助金以外の地震保険などの請求や仮設住宅への入居申請、税金減免などにも必要になります。
できれば、複数枚発行してもらうようにしてください。
地震保険の申請の流れ
まず、地震保険の適用になるのかどうか確認するためにも、保険会社もしくは保険代理店に被災した日時や修繕が必要な個所を伝えながら、今後の対応について問い合わせしましょう。
その後、必要な保険申請書類を入手し、修理をしてくれる業者を選定します。
できれば複数の業者から見積もりを出してもらいましょう。
業者が決まったら、修理見積書と被災写真などを用意し、保険の申請を行います。保険の対象になるのか確認後、保険金が決定し、入金されます。
保険と補助金は併用可能?
自然災害によって家が傾いてしまった場合は、市町村によって異なりますが、保険金と補助金を併用することは可能な処が多いです。
国から支給される補助金については、情報が集められず適用期間を知らずに、期限切れとなってしまうこともあるため、市区町村のホームページや近隣住民との情報交換などで情報を取りこぼさないようにしましょう。
また、保険金と補助金を併用したい場合には、地震の対策もかねて地震保険に加入するようにしましょう。地震などの自然災害はいつ起こるか分かりません。
地震保険は火災保険とセットでしか加入できないことが多いですが、地震による建物の破損や火災については火災保険の対象にはならないので、注意しましょう。
修繕と建て替えのどちらにするか
自然災害によって傾いてしまった家を修繕するのか、建て替えにするのか迷っている人も多いのではないでしょうか。
重要となるのは住まいとしての機能を果たし、安全性が保たれているかどうかです。
例え修繕や改修工事を行っても、根本的な改善が必要な場合には建替えを行うべきです。
家の傾きの程度を把握するためには、様々な調査方法があります。
個人で調査する場合には、費用がかからず手軽な方法としてビー玉やゴルフボールを床に置いたり、建てつけが悪くないか確認してみましょう。
ただし、具体的な傾斜角度や深刻さが分かりづらいため、傾きの有無を確認出来たら業者に調査依頼を行いましょう。
業者が調査する場合には、水平器やレーザー測定器を使用し、床や壁の傾斜の詳細や傾きの原因を調査してもらいましょう。
修繕を始めるタイミング
気になる修繕を始めるタイミングですが、災害の種類によって異なります。
例えば、地震の場合には土壌が比較的安定していることが多く、すぐに傾斜の調査や修繕の調整を行えます。
しかし、災害の中でも津波や雪災の場合には、土壌に水分が多く含まれている状態です。
そのため、通常の状態になるまで日にちを要することから、修繕を始めるタイミングが地震に比べ遅い傾向にあります。
修繕を行う細かいタイミングについては、業者と相談の上ベストなタイミングを計りましょう。
ちなみに、修繕が遅くなりすぎるのも注意が必要です。
保険や補助金を受給したい場合には、適用期間を確認の上、期日内に申請する流れとなります。
修繕を始めるタイミングが適用期限を過ぎている場合には、もらえるはずだったものがもらえなくなってしまうので、天災があった場合には適用期間や必要な申請について事前に確認をしておくことをおすすめします。
被災後の修繕業者を選ぶ時のポイント
ここでは、被災後の修繕業者を選ぶ時のポイントについて解説します。
まさにこれから修繕業者を探そうと考えていた方は、ぜひ参考にしてみてください。
実績を確認する
過去に修繕した事例を紹介していたり、どのくらいの期間で修繕を終えたのかなど、HPなどで実績をPRしている業者かどうか確認しましょう。
業者によっては、before、afterを載せていたりと、実績を細かく紹介しています。
被災後は冷静な判断が求められます。
なりふり構わず安く対応してくれる業者に修繕を依頼してしまうと、仕上がりに納得いかないなど修繕の質に疑問を感じてしまいます。
金額も大事ですが、しっかり対応してくれる業者を選びましょう。
自社施工をしていること
修繕業者の中には、工事を下請けの業者に依頼して自社では施工しない会社もあります。
この手の会社は、修理費用とは別に仲介手数料が加算されていることが多く、余計な出費が発生してしまいます。
できれば、自社で施工を実施している業者を見つけるのが業者を選ぶポイントの一つです。自社施工していれば、必要な修繕費のみで工事が進み、全て一社で完結することができます。
仲介を挟んでいると、コミュニケーションも取りづらいなどデメリットが目立つため、自社施工をしているかどうかはぜひ確認してみてください。
口コミをチェックしてみる
修繕業者を選ぶうえで、実際に修繕を利用した顧客の口コミも参考になります。
業者のHPや口コミがまとまっているサイトなどを確認し、誠実さや丁寧な説明をしてくれる業者かどうか探ってみましょう。
経験と知識をもっている業者であれば、直接話した感覚でもお願いしたいと思える業者かどうか、判断することができるかもしれません。
見積もりの段階や何か不明点を問い合わせるときの対応にも、注目してみましょう。
信頼できる業者かどうか、事前に確認しておくことで最終的な満足度にも影響するでしょう。
修繕中の家に住むことはできる?
修繕を業者にお願いした場合、家の傾きの原因や被害の程度によって、修繕中の家に住むことができるかが決まります。下請け業者などに依頼した場合、その間は、数日間ホテル住まいや週単位で契約ができるウイークリーマンションなどを、仮住まいとして利用する事をすすめています。
しかし、傾き専門業者はジャッキアップ、注入工法共に住みながら行うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はリフォーム中の住まいについてや補助金の詳細、地震保険について解説してきました。
自然災害によって家が傾いてしまった場合には、保険や補助金を受給することが可能です。
また、補助金を受け取りたい場合には認定基準が重要となり、全損、大半損、小半損などが定められています。
申請には罹災証明書の発行が必須となるため、該当の市区町村へ申請の流れや方法について問い合わせしてみてください。
さらに、修繕で済ませるべきか建て替えにすべきか、判断は専門の業者にお願いしましょう。
個人で簡易的な傾斜調査はできますが、どの程度深刻なのかまでは判断が難しいためです。
最後に、被災後の修繕業者を選ぶときのポイントは、天災に遭遇した場合にきっと役立ちます。
その時が来たら適切な判断が出来るように、事前に目を通して役立ててください。